生前贈与で始める賢い相続対策！東京の税理士が仕組みと計算方法を徹底解説

生前贈与とは

生前贈与とは、財産を持っている人が生きているうちに、子や孫などに財産を無償で贈ることをいいます。この贈与には「暦年贈与」と「相続時精算課税制度」という2つの制度があり、それぞれ異なる特徴を持っています。

贈与の種類とそれぞれの特徴

暦年贈与

暦年贈与は、年間110万円までの贈与であれば贈与税が非課税になる仕組みです。毎年1月1日から12月31日までの1年間で、受け取った財産の合計が110万円以下の場合、贈与税はかからないとされています。受贈者ごとに年間110万円の基礎控除が適用されます。

この非課税枠を活かし、毎年少しずつ財産を贈与していくことで、将来の相続財産を減らし、相続税の負担軽減につながります。

相続時精算課税制度

贈与者が60歳以上、受贈者が18歳以上の子や孫の場合に選択できる制度です。累計2,500万円までは贈与税が非課税となり、贈与財産は贈与者の相続時に他の相続財産と合わせて相続税の計算対象となります。原則として一度選択すると暦年課税に戻せないため、制度の特徴を踏まえて慎重に検討することが大切です。

2024年税制改正のポイント

暦年課税の生前贈与加算期間が、相続開始前3年から7年に延長されました（3年超～7年分は各年100万円が加算対象外）。また、相続時精算課税も、年110万円の基礎控除（申告不要枠）が創設されています。

制度選択の際は最新ルールに基づいて検討しましょう。

贈与税の基本的な仕組み

贈与税は、1年間に受け取った財産の合計額から基礎控除額（110万円）を差し引いた金額に、税率をかけて計算します。

贈与税の税率は、直系尊属からの贈与か否か（特例税率・一般税率）と贈与額によって異なるため、複雑に感じるかもしれません。国税庁のウェブサイトにある速算表を使えば、おおよその税額を簡単に把握することが可能です。

なお、受贈者が18歳以上で直系尊属からの贈与に該当する場合は特例税率が適用されます。

不動産などの贈与税の計算

不動産などを贈与する場合、その評価額の計算が難しく、専門的な知識が必要となることがあります。

不動産の贈与は、評価額の計算だけでなく、不動産取得税や登録免許税もかかるため、全体の税負担を考慮することが大切です。

贈与税の申告と納税

贈与税は「申告納税制度」のため、贈与を受けた人が翌年の2月1日から3月15日までに税務署へ申告と納税を行う必要があります。

贈与税の申告を怠ると、無申告加算税や延滞税が課される可能性があります。

贈与税の計算例

1年間で受け取った贈与額が1,000万円の場合

1,000万円－110万円（基礎控除）＝890万円

890万円×税率－控除額＝贈与税額

税率は贈与を受ける人や金額によって異なるため、国税庁の速算表で確認する必要があります。

贈与税を申告しないとどうなる？

贈与税の申告義務があるにもかかわらず申告しなかった場合、無申告加算税や延滞税が課される可能性があります。贈与税を故意に申告しなかった場合は、重加算税が課されるおそれもあります。

名義預金とみなされないためのポイント

生前贈与は、正しい仕組みを理解し、適切な手続きを踏んで行わなければ、将来税務署から「名義預金」とみなされ、贈与が認められないケースがあります。

名義預金とは、口座の名義人とは異なる人が実質的に管理している預金のことをいいます。このような事態を避けるためには、以下の点を実践することが大切です。

• 贈与契約書を作成する
• 贈与する財産は口座振込で行う
• 贈与を受ける人が財産を管理する

定期贈与に注意する

暦年贈与を複数年にわたって行う場合、最初から合計額を贈与する約束をしていたとみなされると、「定期贈与」と判断され、贈与した財産の合計額に課税されるおそれがあります。

専門家に相談するメリット

生前贈与を検討するうえで、不動産の評価を正しく計算することも非常に重要です。土地や建物の評価額は、専門家でなければ計算が難しい場合があります。生前贈与を成功させるためには、安易な自己判断をせず、相続税や贈与税に詳しい専門家に相談するなど、適切なアドバイスを受けることがよいでしょう。

専門家への相談には以下のようなメリットがあります。

• ご自身の状況に合わせた最適な対策を提案してもらえる
• 不動産評価額の算出など複雑な計算を任せられる
• 贈与契約書の作成や手続きをサポートしてもらえる
• 贈与税の申告・納税手続きを代行してもらえる
• 二次相続も視野に入れた中長期的な相続対策が可能となる

専門家に相談することで、ご自身では気づかなかったリスクや、より有効な相続対策を見つけることにつながります。