相続時の遺産分割協議書、やり直しは可能?必要な手続きと時効について解説

遺産分割協議書のやり直しが可能!相続について解説します。

遺産分割協議書の作成なら東京ベイ相続サポートにお任せください。遺産分割協議書の以下について解説します。

・遺産分割協議書のやり直しは可能?

・遺産分割協議書をやり直せるケース

・遺産分割協議書をやり直せないケース

相続のことで悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

遺産分割協議書のやり直しは可能?

スーツ姿の人々と思案中の疑問符

基本的にやり直しは可能だが、条件がある

遺産分割協議は、一度成立すると、その内容に拘束されます。これは、遺産分割協議が、相続財産をどのように分けるかについて、相続人全員の合意によって成立するからです。

しかし、一度遺産分割協議が成立しても、場合によっては、その内容をやり直せる場合があります。

  • 相続人全員がやり直しに合意している
  • 新たな遺産が見つかった
  • 一部の相続人が遺産分割協議に参加していなかった
  • 遺産分割協議の内容に誤りがあった
  • 不当な圧力によって不利な内容で遺産分割協議が成立した

このように、遺産分割協議をやり直せるケースはいくつかありますが、いずれの場合も、相続人全員が合意していることや、遺産分割協議の内容に誤りがあったことなどを証明する必要があります。後ほどのパートで詳しく説明します。

時効はないが注意が必要

遺産分割のやり直しは、時間が経ってからでも可能ですが、注意すべき点がいくつかあります。

まず遺産分割のやり直しによって新たに贈与税や相続税が発生する可能性があります。例えば、遺産分割協議のやり直しによって、特定の相続人が当初よりも多くの財産を取得する場合、その取得した財産は、他の相続人からの贈与とみなされる可能性があります。この場合、贈与税の対象となる可能性があるため注意が必要です。

また、遺産分割協議書のやり直しによって相続税の申告内容に変更が生じる場合、修正申告や追加納税が必要となるケースもあります。さらに、一度完了した遺産分割をやり直す場合、再度、相続人全員の合意形成が必要となります。

遺産分割協議は、相続人間でのトラブルを避けるためにも非常に重要な手続きです。遺産分割協議を行う際には、将来的な変更の可能性も考慮し、専門家である税理士に相談することをおすすめします。

遺産分割協議書をやり直せるケース

木製デスク上の例と言うメモ帳

相続人全員がやり直しに合意している

遺産分割協議は、相続人全員が納得し、合意の上で成立するものです。そのため、相続人全員がやり直しに合意しているのであれば、一度作成した遺産分割協議書の内容を見直し、新たな遺産分割協議書を作成することが可能です。例えば、以下のようなケースが考えられます。

相続開始後に状況が変化した場合

当初の遺産分割協議では、長男が家を取得し、次男は代償として預貯金を受け取るという内容であったが、その後、長男の事業が傾き、家を売却せざるを得ない状況になった。

新たな情報が出てきた場合

当初の遺産分割協議では、父親名義の不動産のみを遺産として分割したが、その後、父親名義の預貯金が見つかった。

当初の遺産分割協議に不備があった場合

当初の遺産分割協議書に、相続人全員の署名・捺印が漏れていた。

上記のようなケースでは、一度成立した遺産分割協議であっても、相続人全員が納得しているのであれば、やり直しをすることは十分に考えられます。

やり直しをする場合は、改めて相続人全員で話し合い、新たな遺産分割協議書を作成する必要があります。その際、誰がどの財産を相続するのか、代償金の支払いなど、具体的な内容を明確に定めるようにしましょう。

新たな遺産が見つかった

遺産分割協議が終了した後になって、隠されていた財産や、失われたと思われていた財産が見つかるケースがあります。このような場合は、遺産分割協議のやり直しを検討する必要が出てきます。

例えば、故人が所有していた土地から、新たに温泉が湧き出したというケースが考えられます。このような場合、温泉は高額な収益を生む可能性があるため、遺産分割協議をやり直して、温泉の権利も含めて分割協議を行う必要があるでしょう。

また、故人が生前に作成した遺言書が見つかり、その遺言書に遺産分割協議の内容とは異なる指示が記載されていた場合も、遺産分割協議のやり直しが必要となる可能性があります。

このように、新たな遺産が見つかった場合は、それが遺産分割協議の内容に影響を与える可能性があるため、注意が必要です。

一部の相続人が遺産分割協議に参加していなかった

遺産分割協議は、遺産を相続する人全員で行わなければなりません。なぜなら、相続財産は、民法で定めるところにより、相続開始と同時に相続人全員の共有財産になるからです。全員の共有財産である以上、その遺産をどのように分割するかは、共有者全員で決めなければなりません。もし、一部の相続人が遺産分割協議に参加していなかった場合、その遺産分割協議は無効となります。

例えば、相続人が3人いるケースで考えてみましょう。AさんとBさんだけで遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成したとします。この場合、Cさんは遺産分割協議に参加していませんので、この遺産分割協議書は無効となります。たとえ、AさんとBさんが、Cさんのことを考えて遺産分割協議を行ったとしても、Cさんが参加していない以上、遺産分割協議は無効となります。

遺産分割協議に参加していなかった相続人は、自分が納得できるまで遺産分割協議を求めることができます。遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることもできます。

遺産分割協議の内容に誤りがあった

遺産分割協議の内容に誤りがあった場合、やり直しができる場合があります。遺産分割協議は、相続財産を確定させた上で、それぞれの相続財産に対する相続分を確定させる重要な手続きです。

遺産分割協議書に誤りがあると、後々トラブルになる可能性があります。例えば、不動産の名義変更手続きや預金の解約手続きがスムーズに進まなくなる可能性があります。作成した遺産分割協議書の内容に誤りがないか、作成時に入念に確認することが重要です。

不当な圧力によって不利な内容で遺産分割協議が成立した

遺産分割協議は、相続人全員が納得した上で成立することが重要です。しかし、中には親族間での力関係や、感情的なもつれから、不当な圧力によって不利な遺産分割協議が成立してしまうケースも少なくありません。例えば、以下のようなケースが考えられます。

  • 精神的に追い詰められて承諾してしまった場合
  • 情報を適切に伝えられずに承諾してしまった場合

このような場合、遺産分割協議は無効となる可能性があります。遺産分割協議が無効となるためには、不当な圧力があったことを客観的に証明できるだけの証拠が必要となります。具体的には、脅迫や暴行を受けた時の録音データや、暴力を振るわれた時の診断書などが有効です。

遺産分割協議書をやり直せないケース

遺産分割協議は、一度作成して関係者全員が実印を押印すれば、原則として変更することはできません。いったん遺産分割協議が成立した後で、特定の相続人だけが「やっぱりやり直したい」と言い出しても、他の相続人が同意しない限り、遺産分割協議書の内容を見直すことはできません。他の相続人が全員、遺産分割協議書のやり直しに同意しない限り、容易に変更することはできません。

遺産分割協議は、相続開始後できるだけ速やかに、かつ、将来のトラブルを避けるためにも、相続人全員でしっかりと話し合い、納得した上で作成することが重要です。

遺産分割協議書をやり直す際の手続き

口頭でのやり直しは無効!必ず書面を作成する

遺産分割の内容を見直すことになり、再度、相続人全員で話し合いを行い、遺産分割のやり直しについて全員が合意した場合でも、口頭だけでは無効です。口約束では、後々、言った言わないの水掛け論になってしまう可能性があります。「再度、遺産分割協議を行い、遺産分割の内容を変更した」という事実を残しておくために、必ず書面を作成する必要があります。

遺産分割協議書は、民法で定められた書式や様式はありません。しかし、後々のトラブルを防ぐためにも、遺産分割協議の内容を明確に記載しておく必要があります。

遺産分割協議書に記載すべき主な項目は以下の点が挙げられます。

  • 被相続人の氏名
  • 相続人の氏名、住所、押印
  • 遺産分割協議の内容
  • 作成日

遺産分割協議書は、相続開始後、相続税の申告期限までであれば、何度でも作り直しができます。遺産分割協議書を作成する際には、専門家に相談することをおすすめします。

遺産分割協議書に押印した全員の署名と実印が必要

遺産分割協議書をやり直す際には、以前の遺産分割協議書と同じように、相続人全員の署名と実印が必要となります。

遺産分割協議書は、相続が発生した際に、相続人全員で遺産をどのように分割するかを決める重要な書類です。

一度作成した遺産分割協議書でも、状況の変化や新たな事実の発見などによって、内容を見直す必要が生じることがあります。このような場合、相続人全員の合意があれば、遺産分割協議書をやり直すことができます。

遺産分割協議書をやり直す際には、相続人全員が新しい遺産分割協議書に署名し、実印を押印する必要があります。

実印は、不動産の登記など、重要な法律行為を行う際に使用する印鑑です。遺産分割協議書は、相続財産の帰属を決める重要な書類であるため、実印の押印が必須となります。

添付書類として、戸籍謄本、印鑑証明書が必要

遺産分割協議書を作成する際には、戸籍謄本と印鑑証明書などの添付書類が必要となります。これらの書類は、遺産分割協議書の正当性を証明するために非常に重要です。

遺産分割協議書に添付する戸籍謄本は、相続人を確定するために必要です。被相続人と相続人の関係性を証明できる戸籍謄本を添付するようにしましょう。なお、戸籍謄本を取得してから時間が経過している場合は、有効期限切れとなる可能性があります。金融機関によっては、戸籍謄本の有効期限を3ヶ月あるいは6ヶ月と定めている場合があります。期限切れとなる前に、事前に相続手続きを行う金融機関に確認しておきましょう。

印鑑証明書は、遺産分割協議書に押印された実印が、真正に作成されたものであることを証明するために必要です。遺産分割協議書には、相続人全員の実印での押印と署名が必要となります。なお、印鑑証明書を取得してから3ヶ月が経過している場合、金融機関によっては、有効期限切れとみなされ、改めて取得が必要となるケースがあります。

遺産分割協議書やり直しに関するよくある相談

兄弟で遺産分割協議をしたが、一部の財産を隠していたことが発覚

遺産分割協議後、一部の相続人によって財産が隠されていたことが発覚した場合、遺産分割協議のやり直しを検討できます。

遺産分割協議は、相続人全員が合意した内容で成立します。もしも、一部の相続人が意図的に財産を隠し、他の相続人を欺いて合意に至っていた場合は、「詐欺」や「強迫」によって合意が成立したとみなされる可能性があります。

以下の状況で対応が変わるので理解しておきましょう。

遺産分割協議後数年経過している場合

原則として、一度成立した遺産分割協議を覆すことは困難になります。

遺産隠しを立証できる証拠がある場合

遺産分割協議の無効を主張し、改めて遺産分割協議を行うか、家庭裁判所に調停や審判を申し立てることができます。

また遺産隠しを立証するためには、以下を調査する必要があります。

  • 被相続人の預金口座の取引履歴
  • 不動産登記簿謄本
  • 株式などの有価証券の取引履歴

遺産隠しは、家族間の信頼を損なう行為です。遺産分割協議は、相続人全員が納得した上で進めることが重要です。

母親が認知症になる前に、有利なように遺産分割協議を結んでいた

遺産分割協議は、相続人全員が納得している場合に成立します。しかし、中には判断能力が十分ではない状態で、他の相続人に有利なように遺産分割協議が結ばれてしまうケースも少なくありません。

例えば、認知症が進行する前に、特定の相続人に有利なように遺産分割協議を結んでいた場合、後から他の相続人が不利な立場になることがあります。このような場合、遺産分割協議のやり直しを検討することになりますが、一度成立した遺産分割協議を無効にすることは容易ではありません。

ただし、遺産分割協議書が無効となるケースの一つに「意思能力がない状態での契約」があります。認知症などにより、遺産分割協議書の内容を理解した上で自身の意思に基づいて合意したとは言えない場合には、その遺産分割協議は無効となる可能性があります。

実際に遺産分割協議が無効と認められるためには、医師の診断書や、当時の状況を説明できる客観的な証拠などが必要となるため、専門家に相談することをおすすめします。

遺産分割協議のやり直しは専門家に相談を!

専門家によるアドバイスで、スムーズな遺産分割協議を実現

遺産分割協議は、相続人全員で遺産の分け方を決める重要な手続きです。遺産分割協議がスムーズに進まない場合や、後々のトラブルを避けるためには、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

専門家に相談するメリットとしては、下記のようなものがあげられます。

  • 専門知識と経験に基づいたアドバイス
  • トラブルの未然防止
  • 手続きの負担軽減
  • 円滑なコミュニケーション

遺産分割協議は、専門家からアドバイスを受けることで、よりスムーズかつ円満に進めることが期待できます。相続にあたり不安や疑問がある場合は、一度専門家に相談してみることを検討してみましょう。

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